続報 前編「温度差が大きすぎる——ナフサショックと金融機関の今」はこちら

空気が変わってきた
——建設業・工務店、
ナフサ禍の資金繰り続報

5月後半、制度が動き始めた。動いた会社と待った会社で、差がつく。

2026年5月28日 合同会社Properly 佐藤崇

「受注はある。でも資材が来ない」——今年の春、この言葉を建設業の社長から何度聞いたかわからない。見積を出した翌日に仕入値が動く。納期の回答が来ない。そのまま工期が伸び、運転資金だけが増えていく。

現場の方はすでにご存知のことばかりかもしれない。でも、金融機関や自治体が今どう動いているかは、意外と見えにくい。このページでは、2026年5月1日以降に公式に発表・開始された支援策に絞って整理します。

このページが伝えたいこと
制度は動いている。ただし「温度差」がある。使える制度があるうちに、早く動いた会社が助かる。

1. 最新の状況をお伝えする前に——5月20日、静岡の現場で私が見たこと

スタイロフォーム——静岡の工務店現場にて(2026年5月)

5月20日前後、静岡県の工務店に伺った。現場で起きていることを、3つのやりとりで書く。

スタイロフォームを業者に電話発注した。状況は厳しいことを承知の上で、でも言うだけ言ってみようと「納期はできるだけ早く」と伝えると、返ってきた答えは——「その半分しか受けられません。残りは発注しても納期が全くわからないので、受けることができません」。
(断熱材・スタイロフォーム 2026年5月)

「ものがない」ではなく「半分しかない、残りは見通しも立たない」。この状況で工期の約束をどう守るか——現場の社長は毎日この問いと向き合っている。

タチカワブラインドの担当者に話を聞いた。アルミ製ブラインドなど同社製品の供給は今のところ問題ない、全て納品できると言う。「他の業者さん(違う部材)は大変だと聞いています」という言葉が続いた。
(建材メーカー担当者 2026年5月)

品目によって状況は全く違う。「全部だめ」でもなく「全部大丈夫」でもない。だから現場での判断が難しくなっている。

ある著名な大手ECサイトの担当者(一定の発注量がある顧客には専任担当がつく)から、こんな話を聞いた。「発注は受けます。でも納期は未定です。そして——先に入金してもらわないと、発注自体受けられないと会社から言われていて……」。担当者は「とても心苦しい対応をしている状況です」と言った。
(大手ECサイト担当者 2026年5月)

仕入れ先の担当者自身も、追い詰められている。「心苦しい」という言葉が残った。

公共工事を受注している社長へ(使える交渉材料)
全国建設業協会が4月30日、国交大臣に緊急要望書を提出。単品スライド条項の閾値撤廃・キャッシュフロー改善のための部分払い・工期延長対応が盛り込まれています。発注者との交渉にこの要望書を引用できます。

2. 金融機関・保証協会は動いているか

「金融機関は動いていない」という声をよく聞きます。正確に言うと、相談窓口はほぼ全国で設置されている。ただし、積極的に声をかけてくる金融機関は少ないというのが実態です。

日本政策金融公庫(2026年4月1日〜)

セーフティネット貸付の金利が0.4%引き下げされています。「最近3か月の売上高が前年同期比5%以上減少」または「資金繰りに著しい支障が生じている」ことが要件。建設業・工務店は今の状況であれば多くの場合対象に該当します。

信用保証協会(全国)

3月下旬〜4月にかけて、千葉・神奈川・兵庫・福岡・北海道など主要都道府県の信用保証協会が「中東情勢・原油価格上昇等に関する特別相談窓口」を設置・拡充済みです。相談した記録が残るため、後で申請が必要になった時に手続きがスムーズになりやすい面があります。「まだ申請するほどでもない」という段階でも、一本電話しておく価値はあります。

地方銀行・信用金庫(確認できた独自対応)

金融機関制度名・概要条件
みなと銀行中東情勢関連支援特別融資(4/22〜9/30)融資上限5億円、期間5年以内
西武信用金庫中東情勢関連緊急支援融資(4/9〜9/30)限度額1億円、所定金利より0.5%優遇
百十四銀行・香川銀行・徳島大正銀行緊急特別融資(〜2027年3月末)限度額1億円、期間10年以内
大手銀行グループ(三菱UFJ・みずほ・りそな)については5月時点で中東情勢専用の独自融資の単独発表は確認できていません。ただし既存の運転資金融資の枠内で対応している可能性があります。まずメインバンクの担当者に「今の状況を相談したい」と連絡することをお勧めします。
前編(5月11日)で、千葉県内の信用金庫担当者の「そんなことで動いている中小企業は、まだいないよ」という発言を紹介した。
先週、その同じ担当者から連絡があった。セーフティネット保証と制度融資の組み合わせについて「こういう使い方があるんですけど」という提案だった。
3週間で、空気は変わる。 (2026年5月下旬)

セーフティネット保証5号について

建設業の多くの業種はセーフティネット保証5号の指定業種に含まれています。売上高が前年同月比マイナス3%以上で、別枠で普通保証2億円・無担保8,000万円が利用可能です。市区町村の認定が必要ですが、手続きは通常1〜2週間で完了します。


3. 地方自治体は動いているか(5月1日以降の確認済み情報)

自治体の動きには明確な地域差があります。以下は2026年5月1日以降に公式発表・受付開始が確認できたものだけを掲載しています。

自治体制度名主な条件・金利開始日
東京都中野区 中東情勢対応資金 無利子・保証料も区負担、限度額2,000万円 6/1〜9/30
福岡市 経営安定化特別資金(緊急短期) 金利1.3%、限度額1,000万円、融資総枠340億円 6月〜2027年3月
兵庫県 経営円滑化貸付(原油・原材料価格高騰等) 金利1.45%、限度額1億円、全業種対象、売上比較期間1か月に短縮 5/18〜
岐阜県 経済変動対策資金「中東情勢影響枠」 県制度融資に新枠追加 5/14発表
静岡県 経済変動対策貸付(中東情勢の変化の影響) 県制度融資の要件緩和 5/1〜
岡山県 経済変動対策資金「緊急対応メニュー」 県制度融資に緊急対応枠追加 5/1〜
長崎県 緊急資金繰り支援資金 中小企業向け県融資 5/13〜
山梨県 経済変動対策融資(中東情勢対応枠) 県が信用保証料全額補助 実施中
重要:補正予算の動き(2026年5月23日時点)
政府は2026年度補正予算を3兆円規模で調整中との報道があります(読売・日経、5月23日)。中東情勢対応の予備費2.5兆円程度を計上する方針で、6月以降に追加支援策が出てくる可能性があります。今動いている制度を使いながら、追加策にも目を向けてください。

自分の自治体が上の表に入っていなくても諦めないでください。この一覧は「公式発表が確認できたもの」に絞っています。市区町村窓口や商工会議所に「中東情勢対応の融資はありますか」と一本電話するだけで、掲載されていない制度が見つかることがあります。


4. 今すぐやること——「動いた会社」と「待った会社」で差がつく

支援制度の多くには「申請期限」「融資枠の上限」があります。制度があっても使わなければ意味がありません。

判断のひとつの目安

3〜6か月先の資金繰り表を作ること、マイナスが見えているなら今すぐ動くこと。これが「今社長にできること」の1つです。

申請には時間がかかります(私が対応した実例では1か月ちょうどかかりました)。動き出すなら早い方がいい——これは過去に何度も見てきた現実です。夏以降に差が出ると私は見ています。

5. 「で、佐藤崇は何をしてくれるの?」——正直に答えます

できていることには手を出しません。社長がすでに動かしていること、現場が回っていることはそのままにします。

私が入るのは、「数字の把握が足りていないところ」だけです。

多くの場合、足りていないのは次の1〜2点です
① 週次・月次の資金繰り(3か月後の残高が見えていない)
② 現場ごと・得意先ごとの粗利(どこで稼いでいるかわからない)
③ 銀行に持っていく説明資料(何を話すか整理できていない)

足りていないところを私が見つけて、動きます。社長があれこれ指示しなくても、プロの目線でどんどん進めます。

目指すのは、「社長は電話するだけでいい」という状態です。

初回相談は無料です。強引な勧誘は一切しません。
「数字がある。だから、話しができるんだな」——ある工務店の社長が融資が通った後に言った言葉です。
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このページの情報は2026年5月28日時点のものです。制度の内容・受付期間は変更される場合があります。最新情報は各自治体・金融機関の公式サイトでご確認ください。

合同会社Properly 佐藤崇 / properly-llc.com